文書生活 : TEXT LIFE

文書のある生活

フジサワ中央

Fujisawa Chuoh


藤沢駅北口の映画館、フジサワ中央が今月末で閉館する。この映画館で大学生の時にバイトをしていた。大学1年の夏休みから3年の冬休みぐらいまで。長期の休みと土日だけ。時給は\500と格安だったけどヒマなバイトだった。お客が少ない映画の時はすることが無いので、お菓子を食べながらマンガを読むか、他のバイトの人とおしゃべりしていた。でも、春休みのドラえもん映画は大人気で、昼ごはんも食べられないぐらい忙しかったな。


バイトとはいえ、映画館の仕事は一通りさせて頂いた、映画館内でチケットを売る(テケツと呼ぶ)、入場者のチケットを切る(モギリと呼ぶ)、お菓子やグッズを売る、街中にポスターを貼る、看板を作る、近所の商店に招待券を配る、館内の掃除、売上伝票の作成、等々。


ドラえもん映画の宣伝の着ぐるみもやったなあ。着ぐるみのままトラックの荷台に乗って、公園とかスーパーの駐車場とかでチラシや割引券を配る。「中に人が入っているんだぜぇ」と言いながらパンチしてくる子供の顔がとても嬉しそうだったな。


本当はダメなんだけど、映写機も回していた。映写機へのフィルムのセットの仕方、フィルムが切れたときのつなぎ方、二つの映写機の切り替え方法、等々を映写技師の人に教えてもらった。今では全自動映写機やフィルムレスの映写機もあるけど、当時はアナログだった。もちろん、一番大きな映画館の映写機は触らせてもらえなかったけど、一番小さな映画館の映写機は人手が足りない時だけ任されていた。その小さな映画館は人気の無い日本映画か日活ポルノが多かった。最初の数回は映写室の窓から映画を見ているんだけど、次の日からは飽きてしまった。そのうちセリフも覚えてしまうんだな。


そして、この映画館でワイフと出会った。バイト仲間だった。安かったバイト代のほとんどはデート代に消えた。


思い出の場所が消えるのは寂しいが、消えるのもまた潔し。縁があれば復活するだろう。


復活といえば、バイト時代に昼ごはんを食べに行っていたカレー屋「シュクリア」が映画館の近くに復活していた。古くはさいか屋〜マルイの地下から、ルミネに移転したのち閉店したと思っていたんだけど、シブトク生き残っていた。映画館は閉館するけど、シュクリアは続くんだなあ。嬉しいなあ。今度の週末に食べに行こう。