文書生活 : TEXT LIFE

文書のある生活

毎年この時期になると高校時代の友達、ジョージを思い出す。身体は小さいけどラグビー部でちょっと抜けてるところがイイ味出してた。ジョージは大学に入ってから山岳部に入って山登りにハマった。不器用だが誠実なジョージに向いていたんだろう。

ジョージはあの御巣鷹山の飛行機墜落事故の救助活動に参加したと聞いた。当時大学の山岳部には要請があったらしい。黙々と働くジョージの姿が想像出来る。そういうやつだった。

そんなジョージは死んでしまった。癌だった。ショックだった。

自分が大学の研究室に住み着いていた頃だ。その頃の自分は研究テーマに没頭というよりもとりつかれていて、家にも帰らず、睡眠時間は1日2時間イスで仮眠、食事はカップヌードル、そして起きている間はタバコを吸い続けていた。マイルドセブンか金が無いとハイライトだった。心身ともに荒んでいた。

辛い闘病の末死んでしまったジョージの死に顔はやさしそうだった。

その顔を見たら、荒んだ毎日、不健康な生活をしている自分が情けなくなってしまい、いろんな意味で泣けた。

ジョージが死んでからタバコを一本も吸っていない。毎日三箱は吸っていたのにピタリと止めた。長生きすることにした。べつにジョージの分まで生きるつもりはないんだけど。ジョージに悪いから。