文書生活 : TEXT LIFE

文書のある生活

二宮駅のホームで若いカップルが仲良さそうに話をしている。微笑ましい光景。そうしていると東京行きの電車が来て、彼女だけが電車に乗った。発車のベルが鳴り、ドアが閉まって、電車が動き出す。すると、手を振る彼女の瞳から涙がこぼれだした。おぉ!これでお別れという訳じゃなく、ただただ今日の別れが悲しいのだろう。それほど彼と離れがたいのだろう。素晴らしい。そんな純な心に軽く嫉妬する。自分には、そんな心は残っていない。

彼女は通路を挟んで、向かいの席に座った。しばらく涙を拭いていたが、大磯を通過する頃にはお茶を飲んで、オヤツを食べて、音楽を聴きながら、ガクっと寝入ってしまった。あれ?涙がこぼれるほど、別れを惜しむなら、ケータイでメールの一本でも彼に入れるだろう?!

このへんで、私の荒んだ心の中では、穿った見方が始まった。彼女は自分に酔っているだけでは?というか、涙を流す自分の姿を彼に見せることで、彼に与える影響を計算しているのかも!したたかな生き物だ。女の涙にだまされるな!とはこのことか。。。

と、勝手にマイナス方向に妄想を膨らませてしまう自分が悲しい。本当は、女の涙にだまされたいんだろ?