文書生活 : TEXT LIFE

文書のある生活

山猫の夏

船戸与一「山猫の夏」読破。ブラジル北東部のエクルウという村に、山猫と名乗る謎の日本人が現れ、次々と事件がおこり、エクルウの村は大きな波に。。。というありきたりな展開だが、一気に読ませる筆力は素晴らしい。物語は山猫に雇われた日本人の私の視点を通して描かれる。シャーロックホームズのワトソンのよう。細部の描写、スピード感などハードボイルド小説としては絶品だろう。が、今一つおもしろみに欠けるのは何故だろうか。山猫がスーパーマンすぎるからか。追いつめられた切迫感が無いからか。船戸氏の著作はもう何冊か読んでみれば、その理由も分かるだろう。