文書生活 : TEXT LIFE

文書のある生活

町内会のお仕事

1年ほど前に町内会の役員を押し付けられた。その時にドサクサに紛れて、こちらがよく分かっていないと知りながら、2つの役員を押し付けられた。もう最低。

一つは町内会ではなく、地域防災拠点の副委員長と事務局。2ヶ月に1回行われる地域防災拠点の運営委員会の開催と資料作成、年1回の地域の防災訓練の準備と運営、年1回の総会資料作成。総会資料とは自治体に提出する活動報告書であり、要はこれで予算を頂くためのものだ。こちらは比較的システマチックに行われているので、面倒だがなんとなく存在意義が分からなくもない。

もう一つは町内会の防災担当役員。これ名称が先の地域防災拠点と似ているので、役員は1つかと思っていたが、ここに書いている通り別物だった。これは何をするかといえば、特に決まっていなくて、例年やっているようなことを踏襲してやることになるのだが、これが、もう、田舎臭くて辟易してしまう。要はこれは、町内会会長の実績づくり。町内会として積極的に活動していますよ、と自治体に報告するアリバイと言っても良い。要は、地域防災拠点と同様に予算獲得のためである。

その町内会会長から「町内会で防災訓練をやってほしい、あなたの主導で!」という最高に意味不明な依頼を出されてしまった。先立っては防災訓練の素案をいくつか提案して欲しいとのこと。それならばと[1]新型コロナ感染拡大防止のため中止、[2]消防団に頼んで何かやってもらう、[3]自治体に頼んで何かやってもらう、の3案を出した。当然の優先順位付け。しかし町内会会長はこの優先順位を反対にして、逆提案してきた。何なんだろうね。色々と話を聞いてみると、老人達が町内会で何かやってほしい、との依頼が来ているらしい。その「何か」としての防災訓練だと。

こちらとしては全くやる気は無いので、放置しておいたら、会長の方で勝手に進めて自治体に講演依頼をだしたとのこと。それならば町内会の会館があるので、そちらで開催すれば良いと思っていたら、なんと神社の近くの広場で開催したいとのこと。会館だと人が入り切らないとか。そんな馬鹿な話があるか?そんな自治体の話など聞きたい人がいるのだろうか?

(ここからが問題だったのだが)

その広場で老人がたくさんくるので、広場にパイプ椅子を並べて欲しい、とのこと。誰が並べるの?と聞いたら「あなたです」と。。。そんなパイプ椅子がどこにあるのかと聞いたら防災倉庫にあるとな。防災倉庫ってどこにあるの?その広場からバス通りを少し行ったところにあると。それをトラックで運ぶのですか?聞いたら、なんと「リアカー」で運ぶのだと。。。戦前かよ。。。軽トラとか無いのかよ。。。しかも必要数運ぶには2往復と。。。

雨天の場合は中止だったので、必死で雨乞い、レインダンスも踊った。そのかいあって、2日前までの予報では大雨だったが、前日の予報になって曇りになってしまった。生贄が足りなかったのかも。

雨降る気配なしで、防災訓練は決行された。当日は朝から広場の草刈りから始まっていた。参加者の皆さん、気合が入った農作業ウエアに身にまとい、地面に座り込んで草刈りしている。何が皆さんを駆り立てるのか意味不明で、端の方で何かしているフリしながらポカリスエットを飲んでいた。

おおかた草刈りが終わってしまって、テンションの上がった農作業ウエアの皆さんの中から力のありそうな人数名にお声がけして、防災倉庫まで来ていただいた。ほぼ朽ち果ててラピュタ帝国にありそうなリアカーを起動して、倉庫の扉を開けると、テンション上がった人が中に飛び込んで椅子を出し始めた。こちらは仕事するフリしつつエナジー最小限で細々と。すぐにリアカーは満杯になったので、リアカーを移動させるのだが、流れ的に私がリアカーを引くことになった。どんな罰ゲームの羞恥プレイなんだか。気分はどん底まで沈み込む。交通量の多いバス通りを、クルマがビンビン走る中をリアカーを引く。リアカーに気づかなかったトラックに突っ込まれたら即死だ。

なんとか広場まで到着して、早々にパイプ椅子を下ろす。その前にブルーシートを皆さんに渡してあったので、ブルーシートを広げて、その上にパイプ椅子を並べる。これ以上運びたくないので、感覚を空けて並べていたら、どこかのジジイが間隔詰めて並べ直しやがった。クソジジイ○ね!おかげでもう1回リアカーで椅子を運ぶことに。加えて大きな折りたたみテーブル2個も持って来いとか言い出して、もう勘弁して欲しい。

ふとリアカーを見ると、そこにはもう無くて、誰かが空のリアカーを引いて倉庫に向かったらしい。ここで待っていたら勝手に椅子を運んでくるだろうが、それも居心地悪いので、のんびりと倉庫に移動する。既に積み込みが始まっているので、なんとなく仕事やっている感をだしつつ、再びリアカーを引いて広場に戻る。もうヘトヘトだよ。

自治体の人が来るまで20分ほど時間があったので、一旦帰宅して糖分と水分を補給。適当に戻ると既に自治体の人が来て講演の準備をしていた。見れば、並べた椅子には老人達がびっしりと座っている。皆さんこういう町内会のイベントが好きなのね。自分からすると信じられないが、おそらく戦前から価値観が変わっていないのかも。

自治体の人のお話は30分ほどで終了。自治体の人もお疲れ様だ。休日勤務だよなあ。本当にお疲れ様です。その後はパイプ椅子とテーブル、ブルーシートを倉庫に戻さねばならない。が、老人達が椅子から動かない。ご近所の人とお話に花さが咲いている様子。もう勝手にやってくれとのことで、空いた椅子をガシガシと片付け始めると、渋々どいてくれた。なんで嫌な顔されなければならないのかねえ。

再びリアカーにパイプ椅子を積んで倉庫まで2往復。テンションの高そうなご老人に倉庫に入ってもらって椅子を入れて頂く。自分はリアカーから下ろすだけ。もうこちらのやる気はゼロなのよ。早く帰りたくて仕方ない。パイプをキレイに入れ直し始めたので、もう外から傍観するだけにした。ポケットに押し込んでいたペットボトルのお茶を飲んで終了モード。ご老人は気が済んだようで、満足したように倉庫のカギを締めて終了。お疲れ様でした。本当にお疲れ様でした。

実は昨年の防災訓練の話があったのだが、その時はコロナを理由に中止になった。今回も中止と思ったが、世の中的にもイベントオッケーな空気に満ちているので、やらざるを得なかった。町内会の役員の任期は1年を切っている。これで二度とやることはない、と思っているのだが、今回の防災訓練に記を良くした町内会会長が「秋にも防災訓練を」とか言い出した。残念ながら秋には長期の休みを取って四国のお遍路+九州ツーリングに行くので、そんな暇はありません。悪しからず。