文書生活 : TEXT LIFE

文書のある生活

借り物に住むということ

借り住まいと持ち家、どちらが良い選択か?みたいな記事を時々目にする。最近の風潮では、借り住まいの方が良いというメッセージが多いようだ。確かに、住宅ローンで手に入れた土地の価値下落が激しかったり、自然災害でその土地に住めなくなるようなことも現実として考えられてしまう状況なので、持ち家よりも借り住まいの方がリスクが少ないという判断も間違ってはいないだろう。


でも、本当にそうなのかな?と思ってしまった。


自分の周りで、2件続けて、借り住まいを退去しなければならなくなった家族が出てきた。どちらも貸主(大家)の都合で退去することになってしまった。


一つは土地だけを借りて、建物は借主の持ち物。200坪以上の土地を数十年間借りていたらしい。地主が土地を担保にお金を借りたんだけど返せなくなって、土地は金融機関のものになり、借主は更地にして土地を返さなければならなくなった。数十年間その土地を借りてきた借主はもう70歳近いご高齢。近くの土地で農業をやっている。その農地は借主の持ち物なんだけど、市街化調整区域内なので、農地を宅地に転用して家を建てられない。今まで200坪近い広大な庭に住み慣れてきたのに、70歳になってから狭いアパートで今更暮らせるだろうか。他人ごとながら心配している。


ちなみに、その抵当物件の200坪の土地はデベロッパーが落札して、分譲住宅にするらしい。そのデベロッパーには、不思議なことに借主の娘さんが勤務している。娘さんといっても40歳以上で、結婚して早々に出産して、前述の農地の一角に大きな新居を建てたんだけど、すぐに離婚してしまい、その新居は売却してしまった。今は借主と同居している。なので住むところが無くなってしまったんだな。


その娘さんの目の前には、かつて住んでいた大きな住宅と、取り壊さなけれならない今の住宅と、その後には自分の会社が建設する分譲住宅ができる。そして、自分の住むところが無い。なんとも悲しい状況。。。かと、思いきや、その娘さんは非常にご機嫌なんだな。どうやらその分譲住宅の案件は娘さんの実績になっているようだ。この娘さん、いろんな意味で大丈夫なんだろうかね?会社に上手く騙されてないか?これですぐに会社を首になったら面白いけどね。


本当に悲しいのはご高齢のご両親なんだろう。目の前に自分の土地(農地)があるのに、家を立てられないし、なんだか自分の娘に住むところを奪われるような感じになっているからね。


ただ、そのご両親という人たちは、娘さんも含めて、ちょっと意地が悪くて気取ったところがあったので、ご近所の方々の反応は冷ややからしい。


もう一つは、土地も建物も貸主の持ち物の典型的な借家。この借家前の道路を拡張するため土地を役所に売却することになったので、退去しなければならなくなった。ここの貸主は、貸主の都合で退去してもらうので、不動産屋さんに相談して、転居先などを斡旋してくれている。


だが、ここで問題が。。。この借主の奥さんはある「占い師」の先生を信奉していて、転居先の方角などを占いで決めてもらっているのだ。その占いの結果にハマる物件が見つかれば良いのだが、なかなか見つからず、不動産屋さんも苦戦しているようだ。


貸主に無断で猫を4匹飼っていたり、植木を増やしたり、建物に手を入れたりと自由気ままに暮らしてきたので、同じ条件の物件を要望しているようだが、そんな物件はありはしない。こちらもかなりご高齢で50歳近い独身の娘さんが同居しているんだが、ご近所の話では旦那さんは見かけれうが、奥さんと娘さんは見たことがないという。まるで、某女性タレントみたいだ。


どちらの話も、高齢になってから転居しなければならず、かなりの負担になっている様子。やっぱり、高齢になったら一所に落ちつて生活したいんじゃないかな?若いうちは色んな場所で生活することが良い刺激になるけど、高齢になっての転居は負担にしかならないのかもしれないなと。


そうなると、最初に戻って、借り住まいと持ち家、どちらが良いか?という問は、必ずしも借り住まいが良いわけではなくて、高齢者には持ち家の安心感が大事なのかと思ったのでした。そして、借り住まいにはリスクもあって、若いうちにはそのリスクは軽いけど、高齢になるとそのリスクがきついのかなと。