文書生活 : TEXT LIFE

文書のある生活

タヌキ

駅へ向かう道ばたにタヌキが死んでいた。新しくできた大きな道路の脇だったの
で、クルマにはねられてしまったのだろう。歩道のアスファルトの上に横たわって
いるので、なんともかわいそうである。仕事場に向かう途中なので、何もしてあ
げられず申し訳ないという気持ちで、心の中で冥福を祈りつつ、その場を離れ駅
へと向かう。

道路から少し離れれば雑木林がある。アスファルトの上でなく、せめて地面の上
に寝かせてあげたいなあ。。。でも素手で触るのはちょっとなあ。。。と、申し
訳ない気持ちで歩いていると、ちょうど手に届く高さに古新聞が一つ。おぉ!
「この古新聞で包んであげなさい」という神の啓示か神の御業か!?神の存在を
感じつつ古新聞を手に取り、来た道を戻る。タヌキの体の上に古新聞を広げて、
タヌキを古新聞ごと持ち上げる。そのまま運んで雑木林の中へ投げ込んだ。冥福
を祈りつつ。タヌキは結構重かった。これはリアルだ。

本当は穴でも掘って埋めてあげれば良かったのだが、穴を掘る時間も道具も無い。
申し訳ないけどこれで我慢してくれ。。。と思いつつ駅へ向かう。。。ふと見る
と穴を掘るのにちょうど良い木の板が目の前に落ちているじゃありませんか!さっ
きは気が付かなかったのに、これは神の啓示、神の御業ですか?!神は私を試し
ていらっしゃるのですか?しかし、そろそろ時間もギリギリだったので、神の御
意志には沿えずに、穴は掘らずに仕事場へ向かった。申し訳ない。