文書生活 : TEXT LIFE

文書のある生活

作家になりたい若者

先日、元上司と某小田急小田原線の駅前の小さな居酒屋で飲んでいたいた時のこと。

「息子が数学科を辞めて、文学部に入り直したんだよ」

と言い出した。結構アルコール摂取量が多くなってきた頃だったので、元上司、飲みすぎて訳わからないことを言い出したなあ(正確には、この元上司はシラフでも訳の分からないことを言う人)と思いつつも、相槌をうっていた。

「数学科の3年生になったのに、また大学1年生からやり直しなんだよ」

と続いた。転部でもしたのかと思ったが、どうやら大学に入り直したらしい。隣に座った同僚とは(同じ大学出身)転部したら一般教養とか再履修不要じゃね?みたいな話をしていたが、元上司はちょっと悩んでいるようで、樽ハイサワーをおかわりしつつ

「作家になりたいらしんだよねえ」

と言い出した。作家かあ。。。でも作家になるのに文学部に入る必要があるのかな?と思ってツッコミ入れようかと思ったが、この話はネタとしては面白いので、元上司の語るがままにさせておいた。

「で、奥さんが大反対でさ、大企業に入社すれば将来バラ色とか思ってるんだよねえ」

と、この辺はマジで悩んでいる様子。まあ、悩むよねえ。まあ、悩んでくれ。この元上司にはそんなに世話になった記憶はない。むしろ、コッチが色々とフォローしてやったので、この飲み会はオゴリで当然、ぐらいに考えている。

自分が大学生の時にも、ミュージシャンになりたい!俺はロッカーになる!と宣言していた人がたくさん居た。

その言葉通り、今でもミュージシャンとして活躍し、某有名ギタリストのツアー時にはバックバンドで活躍している。自分のレコードレーベルも立ち上げて、若い人をフォローしたり、自分の作品も出している。某ミュージシャン系雑誌でも数ページ特集されたりしている。こいつはスゲーやつだった。ちゃんと大学も卒業したしな。

その反対に、大学在籍時からバンド活動に集中して大学には行かず、大学8年生でギリギリで卒業した人、8年生で放校になった人、なども居た。彼らの多くはコンビニの店長になったり、フリーターからホームレスになり、そこから一発逆転のサラリーマンに転身した人もいる(某新聞で特集されてて生存していたことを知った)。

成功した人も夢破れた人も、どちらも狂人というかアホというか天才というか、まあエナジー溢れる良い人たちだ。今でもそうだと思う、たぶん。

作家になりたい息子さんが、どれぐらい本気なのかは分からないけど、狂ってしまえば良いんじゃないかなあ。