文書生活 : TEXT LIFE

文書のある生活

春の道標

これは良い本だ。是非是非お勧めしたい。大人になったつもりはないのに、知らぬ間に年を重ねてしまった男の人に。高校生の頃の気持ちを未だに引きずっているつもりになっている人に。心のどこかで「まだあの頃の気持ちのまま」だと信じている人に。この条件に全て当てはまるの私ですが。。。

この本の主人公の男子高校生が、一つ年上の幼なじみの女性、二つ年下の美しい彼女、二人の間で不安定に心が揺れていく様、甘く切ない感情、やるせない気持ち、ときめきと感動、背伸びして傷ついたり、とても丁寧に描いています。私にはこの主人公の気持ちが痛いほど伝わってくる。あぁ、分かるよ!そうなんだよ!

だが、それはあくまで過去の感情であって、現在の感情ではないことに気付き、そこに長い年月の流れを感じとったのでした。痛いほど分かるけど、今の自分の気持ちではない。それはノスタルジィでしかない。全ては昔話なのだ。

これが大人になるということなのか。

少し寂しいなあ。雨降る秋の日にこんな本を読んでしまって、どうやって立ち直れば良いのか?いっそ立ち直らずに、太田裕美の「君と歩いた青春」「しあわせ未満」「振り向けばイデスタデイ」を聴いて、さらにドツボにはまってしまおうか。



この本は高校の課題図書だったらしいので、結構有名な本みたいです。かつて高校生だった人たちへの推薦図書としたいですね。