文書生活 : TEXT LIFE

文書のある生活

お泊まりツーリング二日目

ツーリング二日目はメインイベント。その筋では酷道として有名な国道152号線を走破して、諏訪湖を目指すのだ。国道152号線が走りたくて、今回のお泊まりツーリングに来たのだ。


早起きすると、予報通りの雨。大降りではないし、空も明るい。早々に止むと判断。バイキング形式の朝食を食べて、精算だけ済ませて出発。チェックアウトはワイフにお願いした。革ジャン、革パンの上からレインウエアの上下を着込む。加えてレイン用のグローブも付ける。これで準備万端。雨降る中、ワイフに見送られて慎重にスタート。近くのスタンドで給油。この時点でもう小止みになったので、脱ごうとすると再び降り出す。レインウエアの脱ぐのは諦めて走り出す。とにかくコケないことを最優先にしよう。


浜松駅前から問題の国道152号線に入る。ここでは片側3車線もある非常に立派な国道である。北上するにつれ、車線が減っていき、天竜川を越える前には普通の片側1車線の道路となる。交通量も少ない。この時点でかなりローカル色が強くなってきた。天竜川沿いに北上する。152号はフォッサマグナ沿いに走る道なので、谷間を走り続ける。両側は非常にボリューム感のある山々。そして天竜川は豊かな水量、しかも青く澄んだ水。日本の自然は豊かである。


アップダウンの少ない、緩やかなワインディングをひた走る。途中大井橋の近くで小休止。お気に入りの塩キャラメルを口に入れてボーッとしていると、OFF車ツーリングのバイクが目の前を通過していった。交通量は極端に少ない。もう寂しいぐらいだ。大井橋からさらに北上するとJR飯田線と併走する区間に入る。駅毎に小さな集落が点在する。絵に描いたような田舎の風景だ。まるで昭和から時計が止まったかのような印象を受ける。ちょうど秋祭りの最中らしく、笛や太鼓を鳴らして、小学生の集団が道を練り歩いている。こんな風景がまだ残っていたんだな。


さらに北上すると飯田線は長いトンネルに入り、152号線から離れていく。その先が青崩峠となり、152号線は通行止めになっている。復旧の見込みは無いらしい。その迂回路はヒョー越林道。林道とはいえ舗装されている。しかし、走ってみればやっぱり林道。道幅は車1台分がやっと。アスファルトも所々ひび割れている。きついヘアピンカーブの連続。落ち葉も多いし、路面もずぶぬれ。どこで転けてもおかしくない。緊張が続く。峠の頂上を越えて、下りに入ると、雲が切れて晴れ間が出てきた。下りの途中でレインウエアを脱いで身軽になる。これで一つ目の峠を越えた。


林道を降りて再び152号線に戻る。この辺の152号線は林道と大差ない。少しは走ると道幅が広がり、走りやすいフラットな道となる。途中「梨本ていしゃば」という店で昼食。炊き込みご飯やジンギスカンの唐揚げ、おからコロッケなど頂く。腹ごしらえが済んだところで、二つ目の峠、地蔵峠へ。ここも国道が寸断されており、迂回路として蛇洞林道が舗装されている。この林道は途中分岐してしらびそ峠の展望台まで行くことが出来る。時間がありそうだったので、しらびそ峠の展望台までW400号で登る。途中ガードレールのない、崖っぷちの道や、断崖絶壁に近いガードレールがクルマの大きさぐらいで大きく壊れていて、軽く肝を冷やした。だがしらびそ峠の展望台からの眺めは、苦労して登ってくるだけの価値はある。こういう美しい風景を眺めていると、風景写真を撮ってみたくなる。だが、自分の腕では、写真にこの感動は残せないだろう。


しらびそ峠の分岐点まで戻り、地蔵峠を越えて大鹿村へ抜けようとしたら、なんと通行止め!と書かれている。これは道を間違えたのかと、かなり戻って、再び調べるが、やはり通行止め。

大鹿村から飯田市上村・南信濃へ通じる国道152号は飯田市側の市道部分で崩落があり現在通行止めとなっています。
崩落面の上部にまだ崩落の危険のある大きな岩等あるため復旧の見通しはたっていません。

http://www.ooshika.com/info/?eid=180

だそうだ。つまり大鹿村へは南から行かれないのだ。21世紀の日本でもこういうことがあるんだな。このままでは諏訪湖に到着できないので、飯田、松川方面に大きく迂回。県道22号線で152号線に戻ろうとしたら、なんと22号線も不通。大鹿村が本気で心配になってきた。陸の孤島なのか。県道59号線は使えるようなので、59号線経由で152号線に戻る。時間をかなりロスしてしまったので、中央構造線博物館見学はあきあらめて、152号をひたすら北へ。本日三つ目の峠、分杭峠を越える。分杭峠も林道と同じく車一台分の幅で舗装状態も悪い。見通しの悪いヘアピンカーブが続く。クルマだったらキツイ。バイクならなんとか楽しめる、かな。分杭峠の最高地点はその筋では有名なポイントらしく、

現地に行くと、今でも特に観光地のような風情はありませんが、休日ともなると、多くの方が「気」(波動エネルギー)を求めて来訪されます。

分杭峠 ゼロ磁場の情報サイト

とうことらしく、峠の頂上にはクルマが多かった。休憩のバイクも多かったけどね。ここからの眺めは美しく、谷間の遠くに美和湖が見える。写真には撮りきれない。


ここから一気に峠を下って、美和湖を通過して南アルプスの道の駅で休憩。これが本日最後の休憩。後はノンストップで諏訪湖まで走り抜ける。夕暮れの日本の田舎の風景は素晴らしい。写真に撮りたいような、撮りたくないような。シャッター押しても、この美しさは写真に残せないな。


夕方には諏訪湖に到着。諏訪湖まで来れば、本日の宿泊先ホテル紅やはスグ分かるだろうと思ったが、予想に反してなかなか見つからず、ホテル到着はとっぷり日が暮れてからになってしまった。ワイフは先に到着してチェックインは済ませてくれていた。バイクから荷物を下ろして、駐車場に移動させようとすると、「ホテルの正面に駐輪してください。雨が降っても濡れませんし、フロントからよく見えますから、盗難の恐れも低いです。逆に裏の駐車場では目が届きません」とな。なんと素晴らしい!ありがとうございます!これほどバイクに優しいホテルがあろうとは!ということで、ホテル正面玄関の真ん前にW400号を駐車させて頂いた。今朝方の雨で汚れているのが恥ずかしい。ピカピカに磨いた状態で駐輪したかったなあ。